銀河の片隅で 2019 12 22

 昔、冬になると、空気が澄んでくるので、
私は、自宅の庭に主鏡の直径が20cmの反射望遠鏡を持ち出して、
りょうけん座のM51(NGC5194)を観測しました。
 観測しやすい時間は、春ですが、
春は、大気の状態が不安定になります。
 20cmの反射望遠鏡でも、かなりの重さになりますので、
それを支える赤道儀は堅牢なものが必要になりますが、
同時に精密さも要求されます。
 そこで、私は、赤道儀を買い替えようと思い、
三鷹光器株式会社の「GN-170」を注文したいと思いました。
 ところが、「面接をやるから、来社してほしい」と言うのです。
当時、私は、20代だったので、
就職の学生と勘違いされているのではないかと思いましたが、
やはり、GN-170の注文を受ける前に、社長が面接をしたいというのです。
 「私は客なのに、なぜ、社長に面接されなければならないのか。
自宅から、かなり遠いのに」と思いました。
 それでも、三鷹光器を見学できるのではないかと期待して、
同社を訪問しました。
 私の期待通りに、社長面接の後、工場を見学できたので、
遠路はるばる出掛けても、得をした気分になりました。
 社長の話では、GN-170を作れば作るほど赤字で、
採算度外視で作っている。
だから、本当の天文ファンにしか作らないので、面接が必要だったという。
 確かに、赤道儀の中心部分は、
アルミニウムの塊を削り出す手法で作っていたので、
この方法では、一つ一つ手作りになってしまいます。
 鋳物を作るような製法では大量生産ができますが、
機械的な精度が落ちます。
 一方、アルミニウムの塊を削り出す手法は、
手間がかかりますが、精密な赤道儀ができます。
しかし、どうやっても赤字になるということでしょう。
 確かに、主鏡に映るM51は安定しました。
M51は、地球から見ると、銀河を上から見る形となります。
 この銀河は、美しい渦巻きが印象的ですが、
伴銀河を含めて、「子持ち銀河」と言われます。
 ところで、私たちの銀河は、
このような美しい渦巻きではなく、「棒渦巻銀河」と言われています。
 たとえ話をすると、
棒の両端から煙が出て、その棒を回転させれば、「棒渦巻銀河」となります。
 変わった形をしていますが、
実は、宇宙では、「棒渦巻銀河」のほうが主流です。
 銀河の片隅で、広大な話となってしまいましたが、
やがて、日本に「宇宙技術」が与えられるでしょう。

宇宙技術 2016 9 18

JR東海が進めるリニアモーターカーは、宇宙技術に少し近づいたかもしれません。

 遠くへ早く行こうとするならば、どうするか。
強力なエンジンが必要になる上に、
燃料も、たくさん必要になってくるでしょう。
そうなると、ロケットも宇宙船も巨大化してしまうでしょう。

 話が抽象的になりましたので、鉄道で考えてみましょう。
まずは、蒸気機関車で考えます。
 蒸気機関車で、遠くへ早く行こうとするならば、
まず、蒸気機関を強力なものにする必要があります。
そうすると、蒸気機関の巨大化は避けられないものとなります。
さらに、石炭も大量に搭載する必要があります。
 次は、電車になると、どうなるか。
遠くへ早く行こうとするならば、
まず、モーターを強力なものにする必要があります。
次に、強力で巨大な電池を搭載する必要があります。
 しかし、電池を巨大化させるのは現実的ではないので、
駆動エネルギーは外部から調達することになりました。
つまり、電線から電車に電力を供給する方式です。
 さて、リニアモーターカーは、どうなっているか。
もはや、モーターのような駆動装置すら搭載されていません。
単なる箱が超高速で移動するだけです。
(箱には強力な磁石がついています)

書名 宇宙戦艦ヤマト2199でわかる天文学
著者 半田 利弘  誠文堂新光社

 「宇宙戦艦ヤマト2199」は、少年向けの人気アニメです。
だから、この本も、子供向けの本かと思いましたが、
中身は、真面目に天文学を論じている本です。
著者が天文学者だからでしょう。















































































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